14年もの歳月を経た初恋、「砂時計」を読んだ感想

過去と現在、そして未来を表す砂時計が繋ぐ14年間の壮大な物語「砂時計」。主人公は暗く悲しいトラウマを抱え、そのトラウマが主人公を支配し続けます。決して明るい恋愛物語だけでは終わらない「砂時計」。

 

そして、作者の芦原妃名子さんの作品の中でも名作とも言える作品、「砂時計」を紹介したいと思います。

 

砂時計について

作者:芦原妃名子

巻数:全10巻(本編全8巻、番外編9巻・10巻)

 

あらすじ

両親の離婚をきっかけに、東京から母親の実家がある島根の田舎町に引っ越した杏。東京では考えられない田舎独特の生活環境に慣れず一人ぼっちだった彼女は、大悟という少年と出会い居場所ができます。

 

そんな中、母親が仕事中に倒れてしまいます。母親が倒れてしまったのは、自分が母親に「がんばれ」と言って追い込んでしまったからだと自分を責める杏ですが、少しでも母親の助けになろうと大悟と仕事を始めます。

 

その先で出会ったのが藤と椎香の兄妹でした。4人は仲良くなり一緒に過ごすようになります。

 

しかし、生きることに疲れてしまった杏の母親は自殺をしてしまいます。

 

砂時計から繰り広げられていく、杏と大悟、藤、椎香の幸せだけではない苦しく辛い14年間の物語です。

 

みどころ

ドラマや映画にもなった作品なので知っている方も多いかもしれませんが、単なる恋愛漫画ではありません。主人公だけでなく、主人公の周りの登場人物もそれぞれ重く暗い、苦しい想いや葛藤を抱え、その葛藤と闘う姿が描かれています。

 

物語の根底にはトラウマや葛藤があり、それを軸に展開されていく重く苦しい恋愛物語になっています。それだけでも他の少女漫画にはない要素だと思いますが、年を重ねて変わっていく登場人物の心情やどうしようもできない想いや葛藤を細かく丁寧に描いているところがこの作品のみどころだと思います。

 

この作品は、本編は8巻で完結していますが番外編が2巻出ていて全10巻の漫画です。この番外編の2巻を読んで完結だと、私は思っています。

 

番外編を読むことで、さらに登場人物の心情を考えさせられ、本編のあのシーンはこんな思いがあったからなのだと読者の思いを巡らせてくれます。

 

重いテーマで展開されていく物語なので、辛く苦しい気持ちになることもあるかもしれません。しかし人が何かを抱え、もがきながら成長していく過程の描写は、私達読者の心に響くものがあります。

 

相手のことを思いやる優しさ、相手の幸せを想う優しさ、そしてもがき苦しみながら生きていく人間らしさには考えさせられてしまいます。「がんばる」ことについても考えさせられる、そんな漫画だと思います。

 

感想、私が思うこと

私がこの「砂時計」を知ったきっかけは、ドラマでした。当時高校生だった私は、毎日の放送を見ることができずにいましたが、原作が漫画であることを知り漫画を購入しました。

 

読み進めると最後まで止まらず一気に読んでしまったことを覚えています。登場人物の置かれる環境が私とは異なり、なかなか感情移入はできませんでしたが、当時の私と同世代の登場人物の心の動きに考えさせられることが多くあり、影響を受けたこともありました。

 

自分なりに登場人物の心情を一つずつ考えていくと、とても切なく苦しい気持ちになってしまい、漫画でこんな気持ちになるとは思わなかったと衝撃を受けました。今も、読み返す度に登場人物たちの心情を想像し考え始めるとその時間に浸ってしまう程です。

 

やはり「砂時計」の魅力は、登場人物たちの心理描写だと思っています。爽やかで笑ってしまうようなシーンもありますが、漫画でこれだけ細かく人の心理を描いているものは少ないと思います。

 

さらにタイトルの「砂時計」は、私がこの作品に惹かれた理由の一つでもあります。過去、現在、未来を表す砂時計は、時間の移り変わりや気持ちの移り変わりにも掛かっていて、神秘的で素敵だと思っています。

 

優しさや切なさ、人の温かさ、言葉にできない想いや言葉では語り尽くせないような感情をこの漫画でたくさん感じました。たくさんの方に知ってもらいたい、読んでもらいたいと思う、おすすめしたい作品です。日々の息抜きに読んでみても良いかもしれません。

 

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