漫画「チ。-地球の運動について-」は堅い内容をエンタメに昇華した傑作だ【評価・感想】

ビッグコミックスピリッツで2020年から連載されている
人気漫画「チ。-地球の運動について-」(作者:魚豊)について
感想(レビュー)を語ると同時に
「チ。-地球の運動について-」の印象的だった点

などを話していきたいと思います。
(極力ネタバレのない形で話をしていますが、紹介上、若干のネタバレがある点はご容赦下さい)

「チ。-地球の運動について-」のどのあたりが魅力的なのか?

見所も含めて語っていきつつ話したいと思います。

 

 

今回取り上げる漫画は

「チ。-地球の運動について-」

です。

 

まずタイトルに度肝を抜かれますよね。

「チ。」ですからね。

私は漫画喫茶で基本的に漫画を読むことが多いのですが
「チ」で検索をしたらどこに漫画があるのか分かりませんでした(笑)

サブタイトルで何をテーマに描いているのか分かりますが
「チ。」だけだと良く分からないですよね。

とりあえずまずはこの漫画が、どんなジャンルの漫画なのかを説明していきましょう。

この漫画のジャンルは「歴史漫画」です。

歴史漫画というと「キングダム」や「三国志」など
戦国時代を描いた漫画が頭に思い浮かぶと思いますが
「チ。-地球の運動について-」はまったテイストが違うんですよ。

サブタイトルが「地球の運動について」ですからね。

文字通り天動説から地動説へと移り変わる
その歴史について語っているんですよね。

しかも、主人公も変わっていく…
(若干のネタバレすいません)

そんな異色の漫画である「チ。-地球の運動について-」について
私が感じた素晴らしさと漫画の特徴を話していきたいと思います。

 

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「チ。-地球の運動について-」はどんな作品?

「チ。-地球の運動について-」はビッグコミックスピリッツで連載されている人気漫画です。
ジャンルは歴史漫画
作者は魚豊
コミックスは全8巻

 

作者:魚豊
出版社:小学館
掲載誌:ビッグコミックスピリッツ
掲載期間:2020年42・43号~2022年20号
巻数 全8巻

 

 

「チ。-地球の運動について-」を無料で読むには

「チ。-地球の運動について-」をすぐ読みたい方は
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「チ。-地球の運動について-」の概要とあらすじ

15世紀前期、P王国では
地球が神に与えられたものだというC教(宗教)の教えから

”地球こそが宇宙の中心に存在している”

という事を既成事実として教育していました。

その教育に歯向かったものは拷問を受けて死刑になる

そんな時代でした。

そんな時代に学校の天才児として頭角を現していたラファウ

ラファウは孤児ながらも教師のボトツキに養われ
大学への推薦入学を決めるほどの才能を見せていました。

ラファウは天文を見る事が好きでしたが
大学では神学を学ぶことを強要されます。

不本意ながらも周りの状況から神学を学ぶことを決めたラファウ

そんなラファウはボトツキからフベルトという
人間の身柄を引き取るよう依頼をされます。

フベルトは天文を学んだことから
異教徒の扱いを受け、拷問を受けた事のある人物で
ラファウを脅して、天文観測の手伝いをするよう強要します。

大罪であることを知りながら仕方なく天体観測の手伝いをするラファウですが
フベルト唱える地動説を聞いたことで心を躍らせ、その考えに賛同していきます。

果たして、ラファウとフベルトの運命は??

人間が地動説に気が付くのはいつなのか??

人類が進化を遂げる上で、大いなる勘違いとなっていた
天動説と地動説の違いについて描いた異色の歴史漫画

 

全体の概要・あらすじはこんな感じです。

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現代に生きる私達にとっては全員が分かっている事

「地球が太陽の周りを回っている」

遠い昔はそれが信じられてなかったんですよね~

別にどうでもいいことのように感じますが
この一見どうでもいいことについて
興味を持たせる仕組みが入っているんですよね。

さあ、その点について語っていきましょう。

 


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「チ。-地球の運動について-」の特徴

興味を持ちづらいアカデミックな内容を興味深くアレンジ

「チ。-地球の運動について-」は天動説が信じられた時代に
地動説を証明するという極めてアカデミックなテーマになっています。

実際に漫画を見てみると天体観測から
地球が動いていると考えた方が合理的である

というような理論が多々出てきます。

普通にその理論を追っていると、退屈してしまうのですが
その退屈さを解消するべく、色々なアレンジがあります。

その一つは「政治問題」です。

当時の世界は

「地球が宇宙の中心にあるものだ」
「地球こそが神様に選ばれたものだ」
「人間こそが神様に選ばれたものだ」

という事に信ぴょう性を持たせるための
一つとして天動説が用いられていました。

ですが、実際には地球が太陽の周りを動いているわけで
頭のいい人が研究を重ねれば重ねるほどに
天動説は間違いであることが分かってしまいます。

いままで地球は神に選ばれた特別な存在だ、
人間は神に選ばれた特別な存在だ

という事で自らの権威を保っていた国は
その権威が失墜してしまうわけで
それを妨害する研究者を異教徒という事で迫害するわけです。

ただの研究に国対研究者という人間ドラマを加える事で
地動説の研究を進めていくうえでスリリングな展開を加えています。

国の監視から隠れ、バレたら拷問という
厳しい状況下で研究をするバデーニたちに注目です。

 

もう一つは女性差別です。

「チ。-地球の運動について-」にはヨレンタという
女性キャラクラーが出てきますが
この人物は優れた頭脳を持ちながら
女性という事で研究に参加させて貰えませんでした。

今の日本でも女性は差別を受けている、不利である
というような制度はたくさんあります。

ただ、昔はそれ以上に女性が迫害を受けていたんですよね。

日本でも選挙権がなかったとか
政治の道具に利用されたりとかありました。

世界的にも、人間としての権利を持たせてもらえなかったりしていて
見ていて心が痛くなるレベルの酷いことがたくさんありました。

このヨレンタというキャラクターが
女性という不利を覆し、政治問題をひっくり返すべく
研究を進めていくというところに
アクション漫画のような痛快さがあります。

 

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一人の主人公に捕らわれない自由なスタイル

「チ。-地球の運動について-」を読んで
度肝を抜かれたもう一つの点として

「主人公が交代する」

というショッキングな出来事が挙げられます。

ちょっとネタバレになってしまうのですが
第1巻はラファウが堂々の主役として振る舞います。

天才で世渡り上手というスペックを持ちながら
天体観測を愛し、己の信念を持っているラファウは
世界をひっくり返す主人公としてピッタリだったんですよね。

だけれども、ラファウは自らの信念を貫き通して自害していしまうんです。

これは衝撃でしたね。

ラファウはザ・主人公じゃないか!?

という思いを見事に裏切ってオクジー、バデーニ、ヨレンタという
第2部のキャラクターにバトンを繋いでいくわけです。

ただ、漫画としては衝撃の展開ではありますが
実際の社会として考えてみれば納得なんですよ。

国の体制を変えるくらいの一大事ですからね

たった一人の力で変えることなど到底不可能で
何人もの天才の力を合わせながら
多くの時間を掛けて覆していくんですよね。

アカデミックな歴史ドラマとして残酷な現実を受け入れながら
進んでいくドラマは本当に見応えがありますよ。

 

 

「チ。-地球の運動について-」の全体評

「チ。-地球の運動について-」は歴史物の漫画としては
戦国時代ではなく、アカデミック(学説的)な
政治と社会問題と知能をテーマにして国・宗教と戦っていく

という姿を描いた異色の歴史漫画となっています。

読者にとってもは難しい話題を描いているのですが
この難しい問題を社会問題や女性差別など
複雑な人間ドラマを駆使して、面白い漫画に仕上がっています。

単純に地動説を証明するのが大変だった、というだけでなく
その背景となった時代背景や人間が歩んできた歴史と
人間(支配者)が持っている本質なども見られるので
学びの大きい漫画に仕上がっています。

是非、一度見てほしいですね。

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