声なきものの唄~瀬戸内海の女郎小屋~のネタバレ感想です。
声なきものの唄~瀬戸内海の女郎小屋~ってどんな漫画?
作者は、安武わたる(やすたけわたる)先生。
明治後期、瀬戸内海の伊之島で生まれ育った活発な少女・チヌ。
生き別れた姉との再会を夢見て、遊郭で生きていく決意をしたチヌ。
声なきものの唄は、運命に翻弄されながらも強くたくましく生きていくチヌの物語です。
声なきものの唄1巻ネタバレ
漁師の父を亡くした2人の姉妹は、借金を清算するため、女中に売られることとなった。
生まれ育った瀬戸内海を旅立つとき、二人は誓う。
「必ずふたりでここに帰ってこような」
チヌ14歳。サヨリ17歳の時だった。
2人のついた先は武家屋敷でも宮中でもなかった。
姉妹がついた先は、女郎小屋の競り場だった。
器量の良かった姉のサヨリは流れの瀬島と言われる男に高値で売られていき、売れ残ったチヌは見世小屋「須賀屋」の主人に買われることとなった。
見世に出るには、歳の足りないチヌは「須賀屋」では下女として働き始めた。
見世のお母さん(女主人)はこわいが、旦那さん(主人)はやさしくしてくれる。
そうして、1年が経った頃。
「軍公休日」が訪れた。
それは、駐屯地から兵隊がどっと遊郭に流れてくる忙しい日だった。
あと1年、店に出るには早いチヌだったが、チヌを揚げたいという客が現れ、急きょ初見世となった。
源氏名は「小菊」
恐ろしい思いで、一人客を待つ小菊。
男が現れ、服を剥がれ太ももに手が伸びた時・・・
耐えきれずに、逃げ出そうとするチヌ────・・・。
だが・・・!?
チヌが目を覚ますと目の前には、きれいな顔立ちの男衆。
男衆に抱かれたままチヌは「須賀屋」に運ばれた。
朦朧とした意識のもとで、「須賀屋」の主人が男衆に頭を下げている姿が見える。
姉さん方の話によれば、チヌを助けてくれたのは、若水家当主の公三郎(こうさぶろう)若様だった。
地主で遊郭一帯は若水家のものであり、この遊郭で若様に逆らえる者はいないという。
若様の手前、「須賀屋」の主人はチヌを女中に戻すこととなった。
再び、女中として働き始めたチヌ、そんなとき、廓の姐さんである小梅が倒れてしまう。
下位の廓である「須賀屋」には小梅のかわりの女郎はいない。
小梅をゆっくり休ませてあげたいチヌは自分が見世に出ることを決めた。
何日経っても、病状が良くならない小梅。
精のつくものを食べさせてあげたいと思うものの、お母さんが買ってはくれない。
そこで、チヌは道具さえあれば、魚を釣ることを思いつく。
海際まで来て、辺りを見回すチヌに聞き覚えのある声がかかった。
若様の釣った魚を「須賀屋」でさばき、振る舞うチヌ。
ひとときの幸せを感じるチヌ。
しかし、直後に小梅の容体が急変し────!?
声なきものの唄1巻の感想
なかなかおもしろいです。1巻の前半では、まだまだ始まったばかりという感じ、序章でしかありませんが、第3話辺りからグッとおもしろくなります。
何がおもしろいって、やっぱり主人公のチヌがいいんです。
この時代の女性の中では、異色のキャラクターだとは思いますが、それが無理なく物語に溶け込んでいます。
読んでると、純粋にチヌを応援したくなります。そう、ある意味サクセスストーリーの漫画を読んでいるような気になります。
最下層の女郎からのし上がっていくような・・・そんな気にさせる漫画です。
だから、読んでいても内容がエグイわりに、嫌な気持ちにはならない。
むしろ・・・胸が高鳴りわくわくしてしまいます。
そうですね。例えば、倉科遼さん 原作、和気一作さん 作画の漫画「女帝」や安野モヨコさんの漫画「さくらん」を彷彿させるような漫画です。(1巻を読んだところでは・・・ですけどね)
上記の2つはとても大好きな漫画なのでこの「声なきものの唄」も期待が高まります。
声なきものの唄4巻ネタバレ
ひどい扱い、つらい出来事に耐えてきたチヌは、いつしか、矢津遊郭の二番手になった。
そんな折、チヌのいる遊郭「東陽楼」を奪おうとする女・おタカが現れる。
不運な運命に流されながらも、自身を見失わず、家族のために生きてきた女性・おタカ。
その半生は涙無くしては語れない。
おタカの話に、情を抱いたチヌは、東陽楼を奪うために、ひどい仕打ちをするおタカを憎むことはできなかった。
なんとかして、おタカの心を救いたいと思うチヌ。
そんなチヌのけなげな心はおタカに届くのだろうか────・・・?
チヌの心変わり!?
伊布(いぶ)大社への奉納のため、東陽楼の妓たちが、舞を舞うことになった。
しかし、その奉納舞いの最中、チヌは姉のサヨリを人ごみの中で見つける。
あれは、姉に違いない。
3年経っても、見間違えるはずがないとチヌは確信した。
その瞬間、奉納舞いの最中に舞いを投げ出して姉の姿を追ったチヌは、謹慎処分を言い渡される。
そこに、後籐田が現れて、チヌは────・・・。
お香という女
女衒に買われたサヨリ。
そこで、待っていたのは予想外の出来事ばかり。
美しい着物に、高価な下駄。
綺麗なお風呂に、初めての白飯。
夢のようなひとときを味わうサヨリだが
待ち受けていた運命は────・・・。
声なきものの唄4巻ネタバレ感想
花魁おタカの話は悲しくて切なくて・・・。
けれども、どんな運命にも逆らわず、強く生きた女性おタカが本当に美しかった。
理不尽な目にあっても、人の弱さ、醜さを見せられても、毅然と生きるおタカの姿に感動します。
職業に貴賤はない。
あるのは、その仕事に取り組む姿勢なのだと、思わずにいられません。
そして、それは、チヌにしても同じこと。
日々を精一杯生きるチヌ。与えられた仕事をきちんとこなし、人の心配までする。
そんな穏やかな心を持ったチヌだったが・・・。
東陽楼にとって、働く妓たちにとって大切な場面で取り乱し勝手な行動をしてしまう。
4巻になって、とうとうチヌの姉・サヨリが登場します。
ますます、目が離せなくなった声なきものの唄です。
Source: 篠原千絵の漫画ネタバレあらすじ感想
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