神様たちの物語だけど人間ドラマ?が熱い『聖伝-RG VEDA-』の見所【感想・あらすじ】

 

今でこそ、「歴女」という言葉が一般的になり、歴史あるものに惹かれる女性が珍しくない時代になりましたが、古代インドの神様をキャラクターにしてその戦いを描いたこの作品は、そんな「歴女ブーム」のさきがけだったと言っても過言ではないような気がします。

連載開始から約30年経っても斬新さを感じるこの作品をレビューしたいと思います。

 

聖伝-RG VEDA-について

作者:CLAMP

巻数:全10巻

 

簡単なあらすじ

この作品の舞台は古代インドの神々の世界。天界を支配していた帝釈天と、その統治のやり方に反旗を翻し、天を滅ぼすと予言された仲間たちを集めた武神夜叉王との戦いを描いた壮大な物語です。

 

マンガを読んだきっかけ

私が読み始めたのはすでに9巻くらいまでが出ていた時でした。漫画好きの姉がCLAMPのファンで、東京BABYLONE、Xなどの作品が家にあり、その繊細だけれど豪華絢爛なイラストに惹かれ読み始めました。

 

背表紙は並べていくと絵がつながっていき、一枚の絵画作品のようになるので、読んでいないときでも楽しめる工夫がされています。本屋に並んでいるだけでも存在感があります。

 

神様の物語だけど、細かい人間ドラマが見所

物語の基本としては、帝釈天軍対夜叉王軍、というシンプルな構図ではあるのですが、夜叉王が仲間を集める途中で出会う人々との物語のひとつひとつが感動的です。

帝釈天軍もただの憎らしい悪役かというとそう単純なものではなく、それぞれが戦う理由や事情を抱えており、それも物語が進むにつれ少しずつ明らかになっていきます。

 

物語の軸があくまでも戦争なので、たくさんの人物が無念のうちに死去していき、まだ小学生だった私にはすべてがショッキングでしたが、毎回考えさせられるものがありました。

 

それまで見てきた漫画やアニメはわかりやすく勧善懲悪なものばかりだったので、幼心に「正義と悪」の定義とはなんだろうとも考えさせられたものでした。

 

また、神々の戦いがテーマということだけあって、その戦闘シーンの豪華さも魅力的です。男子向け漫画のように荒々しいだけでも、女子向け漫画だからといってキラキラしただけの表現でもなく、絵は綺麗なのに描写は迫力があって、それまで感じたことがない中性的な印象を受けました。

必殺技や武器など、キャラクターごとに戦い方の特徴も違うので、友達や兄弟で「私は誰派」みたいに話すのも面白かったです。これも今で言う「推しメン」の感覚と同じなのではないかと思います。

 

こんな人におすすめ

いい意味でとっても重たい作品なので、漫画といえどいろいろな考えに耽りながら読みたいタイプの人にはピッタリかと思います。何度読んでも飽きない、というより時間を置いて読み返すとその時の自分の年齢、経験によっても抱く感想が変わってくるような不思議な作品です。

話の内容が非常に深く、いろんな点で考えさせられることが多い作品なので、漫画じたいを読む習慣がないような人にもおすすめできます。

 

うちの母は基本漫画は一切読まない人ですが、この作品に関してはあらすじを話しただけで興味を持って、一気に読み切っていました。ジャンルとしては少女漫画ですが、壮大な歴史作品のような感覚で、老若男女いろんな人が楽しめると思います。

Copyright © 2019 大人になっても少女マンガを読みたい All Rights Reserved.

Source: 大人になっても少女マンガを読みたい
Post source:神様たちの物語だけど人間ドラマ?が熱い『聖伝-RG VEDA-』の見所【感想・あらすじ】