「あなたの夢はなんですか?」そう問われて、すぐに答えられる人は、どれくらいいるでしょうか。昔は即答できたのに、大人になってからはそんなことを考えることもなくなりますよね。
「トウ・シューズ」は、かつて夢に向かって頑張っていた頃を思い出せる作品です。
トウ・シューズについて
作者:水沢めぐみ
巻数:全5巻
あらすじ
主人公・森野くるみは、将来バレリーナを目指す中学一年生。くるみは休み時間に練習をしたり、学校から帰るとすぐにバレエのレッスンに行くほどバレエが大好きで、レッスン場に入るのはいつも一番乗りです。
ある日、レッスン場で自主レッスンをする穂坂一臣の踊りを見て、感銘を受けました。そして、いつか一臣と踊ることを夢に、更にレッスンに打ち込みます。その夢の実現のために、くるみは怪我や挫折など、様々な困難に遭遇します。
ちょっとダメだし
話の展開は、実際バレエを習っていた読者からすると、とても甘いと感じました。
まず、作画に指摘箇所が多々あります。例えば、人体の構造的にあり得ない角度で脚が上がっていたり、バレエでは絶対の「アンディオール(脚を股関節から外側に旋回する)」が描けていないです。
バレエを題材にし、作者には(ご自身もバレエを習っていらっしゃるのなら)もう少し資料を見るなり、修正をするなりしてほしかったと思います。バレエを知らない人に正しく伝わらないのではないかと思いました。
なので、この作品は一般的にはバレエ漫画と呼ばれるでしょうが、私個人の中ではこれはバレエ漫画ではなく、バレエを題材にした学園漫画もしくは青春漫画というカテゴリに分類されます。
素直で可愛い主人公・くるみ
ですが、主人公はとても可愛らしいです。素直で努力家、夢に向かってひたむきに頑張る姿は応援したくなりますし、好感が持てます。主な読者層は小中学生だと思うので、等身大の主人公の姿に勇気をもらう読者も多いかと思います。
こんな人におすすめ
この作品は、全話を通して「バレエ以外にも生きる道がある」ということを示しています。バレエを諦めた登場人物がバレエ以外の夢を追うという選択は、思春期の頃の読者には少なからず希望になると思います。主人公が夢に向かって努力を続け、最後には夢をつかむという流れはお決まりのようですし、展開自体も甘いとは思いましたが、読み終わった後には清々しい気持ちになりました。
これまで何度も述べてきた「甘い展開」というのも、全5巻という冊数だったからかもしれません。スピーディな展開を求められたのかなぁとも思います。もっと連載が長く続けば、また違った展開や感想が出てきたかもしれないと思います。その点は、少し残念です。
心に残るセリフ
最後は「夢を叶えたあとも、新たな夢がある。夢は続いていく」といった旨で〆られています。それは最もだと思いますし、成人した今でも、かつて読んだこのセリフは忘れていません。自分の子供にも、ぜひ読ませたい作品の一つではあります。
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Post source:夢を叶えたその向こうにあるものは?「トウ・シューズ」を読んだ感想【あらすじ付】