受験生の葛藤を描いた傑作「すすきのみみずく」の感想・あらすじ

高校3年生、もしくは”受験生”と呼ばれる人生においてのこの時期、多くの若者が進路に悩み、将来について考え、プレッシャーや親の期待に押し潰されそうになります。誰しも、そんな経験をしたと思います。

 

すすきのみみずくについて

作者:聖 千秋

巻数:コミック全5巻・文庫全3巻

 

あらすじ

この”すすきのみみずく”は、そんな出自もバックグラウンドも全く違う”受験生”5人の様々な内に秘めた葛藤との闘い、そこから見えたものを描いた青春・成長ストーリー漫画です。

 

この漫画の特徴。それは少女漫画でありながら、恋愛が軸ではない事です。加えて、主人公はいるのものの、メインとなる5人のそれぞれが主役とも言え、なおかつ、いわゆる典型的な少女漫画に出てくるキャラクターとはかなりかけ離れているという点です。

 

・・・とはいえ、そこは少女漫画ですから、ちゃんと恋愛も入っています。主人公の少女が恋をした大学助教授はめちゃくちゃカッコいいですし、5人の家出を促して率先した大学生も容姿はジャニーズ系です。ただ、2人とも一筋縄ではいかないキャラクターで、そんじょそこらの女子が太刀打ちできる人物ではなく、人間の奥の奥まで見透かすような、そんな男子達で、そこがまた普通の少女漫画の王子様とは一線を画しています。

 

みどころ:大自然とイジメ

この漫画の見どころ、それは都会育ちの疲れ切った勉強だけしてきた受験生が、集団家出を決行し、大自然に対峙する点です。

 

大自然を前にして、自分自身がいかに何も無いところで、何一つできない事を思い知り、世界は広く、自分がちっぽけな存在である事を思い知るという点です。そこから見えるもの、見えたもの、大切な事は何なのか?この家出で5人が学んだものの大きさ、とてつもなく貴重なこの5人の体験をぜひ読んで自身も体現して欲しい点でもあります。

加えて、この漫画にはイジメも題材になっています。5人のメインキャラクターのうちの一人がイジメを受けていたのですが、そのキャラクターの描き方、と残りの4人の彼に対する態度がステレオタイプのものではなく、そこから生まれた真の友情の強さ、本当に感動しました。

 

こんな人に読んで欲しい

この漫画はすべての高校三年生、特に受験生に読んで是非とも読んでいただきたい傑作です。「どうして、何のために勉強するのか?」「自分が本当にしたい事は何なのか?」「自分がしたい事の為に今すべきことは一体何なのか?」例えば、反抗期にはありがちですが、親と対話ができないと諦めている人は「親とちゃんと向き合って、自分の言いたい事、伝えたい事をちゃんと伝える努力はしたか?」そんな事を色々考えさせられる漫画です。

 

これを読んで、思うところがあり、自身の葛藤の突破口になれば・・・と思います。

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