週刊少年ジャンプで1999年から2003年まで連載されていた
人気漫画「ヒカルの碁」(原案:ほったゆみ、作画:小畑健)について
感想(レビュー)を語ると同時に
「ヒカルの碁」の素晴らしさや人生の教訓などを話していきたいと思います。
(極力ネタバレのない形で話をしていますが、紹介する上で若干のネタバレがある点はご容赦下さい)
また、日本中にそれほど多く出回っていない囲碁漫画という
ニッチなジャンルに対して
「ヒカルの碁」はどのあたりが特徴的なのか?
どのあたりが面白いところなのか?
という点についても語っていきたいと思います。
今回取り上げる漫画は
「ヒカルの碁」
です。
「ヒカルの碁」は週刊少年ジャンプというメジャーな雑誌で
連載されていた漫画ですし、小説にもなっている位に有名な漫画です。
そして、タイトルをみればどんな漫画家は一目瞭然ですよね。
この漫画は「囲碁漫画」です。
漫画の歴史を紐解いて見ても囲碁漫画というジャンルはあまり多くないですよね~
将棋漫画だったら「ハチワンダイバー」や「3月のライオン」など
知っている漫画があるんですけどね。
囲碁って将棋と比較してもちょっとルールが難しいというか
認知度が低いという事もあって漫画化されていないんでしょうね~
(ハチワンダイバー)
かく言う私も囲碁のルールは良く分かっていません。
ヒカルの碁を読んでから、ちょっと囲碁をやってみようと思って
インターネットで囲碁をやってみましたが
結局のところルールを理解するに至らずにすぐに飽きてしまいました。
将棋のように駒によって役割が違うわけではないんですが
その分、ルールというか概念が複雑になっているんですよね。
囲碁漫画というジャンルの漫画があまり世の中に出回っていない
大きな要因の一つに「戦いの内容が理解されづらい」という事があります。
野球漫画であれば
「150kmの速球を投げる」
とか
「場外ホームランを打つ」
みたいな誰にでもわかる表現があるので、漫画にしやすいのですが
囲碁漫画の場合は凄さを伝えるのはほぼ不可能です。
囲碁のルールを知っている人はたくさんいると思いますが
プロ同士の対局を見て凄さを分かる人はほとんどいないですからね~。
だけれどもね。
「ヒカルの碁」は最高に面白いんですよ!!
では、何で囲碁のルールや凄さが分かっていない読者が
「ヒカルの碁」にハマってしまったのか?
私が「ヒカルの碁」を読んで
面白いと思った魅力を存分に語っていきたいと思います。
と、その前に今、漫画好きの私がオススメな漫画を3作品紹介しています
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「ヒカルの碁」はどんな作品?
「ヒカルの碁」は週刊少年ジャンプで連載されていた人気漫画です。
ジャンルは囲碁漫画
原案はほったゆみ、作画は小畑健
コミックスは全23巻が発刊されています。
原案:ほったゆみ、作画:小畑健
出版社:集英社
掲載誌:週刊少年ジャンプ
掲載期間 1999年2・3月号~2003年33号
巻数 全23巻
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「ヒカルの碁」の概要とあらすじ
主人公である進藤ヒカル(しんどうひかる)は普通の男の子
特に何に興味があるわけでも無く
毎日を楽しく生きている少年でした。
ある日、ヒカルは自分のお小遣い稼ぎのために
おじいさんの遺品を整理していると、一台の囲碁の基盤をみつけました。
他の人には普通の古い基盤(囲碁)に見えましたが
ヒカルには囲碁にうっすらと血の滲んだ後が見えます。
囲碁台に触れていると1体の幽霊が現れます。
その幽霊の名前は「藤原佐為」(ふじわらのさい)
平安時代に囲碁で大君相手に指南役をしていた囲碁の達人でした。
「藤原佐為」はもう一人の指南役と対決することになり
相手の不正によって負けてしまった事で自殺をしてしまった不遇の棋士でした。
「藤原佐為」はヒカルの意識の中に入り込み
囲碁を打ちたいとヒカルにお願いをします。
囲碁には全く興味がないヒカルでしたが
佐為が囲碁を打てない悲しみがヒカルの心にも大きな影響を与える
という困った互換性があり、ヒカルは佐為の意図を組んで囲碁を打つようになります。
囲碁を打つようになったヒカルは碁会所に通うようになり
塔矢アキラ(とうやあきら)という少年名人と囲碁を打つ機会を得ます。
塔矢アキラは現在の囲碁界で最強と言える塔矢名人の息子で
将来はプロ入り確実と言える実力者でしたが、佐為の力の前に完敗します。
佐為の存在が見えない塔矢アキラにとって
囲碁の初心者である進藤ヒカルに負けた事が信じられず
ヒカルへのリベンジを誓います。
囲碁初心者だったヒカルは佐為の影響もあり徐々に囲碁にハマっていきます。
果たして、ヒカルと佐為はどのような人生を歩んでいくのか?
塔矢アキラはヒカルと佐為にリベンジを果たすことが出来るのか?
全体の概要・あらすじはこんな感じです。
設定はSFっぽいんですけどね。
ストーリーとしては進藤ヒカルという一人の少年が
佐為と出会う事によって知り得た囲碁の世界に踏み込んでいく
という一人の青年の人生を描いた漫画になっています。
なので、囲碁を知らなくても楽しめる漫画になっているんですよね~
ここらへんが「ヒカルの碁」ヒットした理由の一つでもあるのですが
ここでは、そんな「ヒカルの碁」の魅力
そして、素晴らしさを語っていきたいと思います。
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「ヒカルの碁」のここが凄い!
少年誌とは思えないほどの深いストーリーと人間描写!
「ヒカルの碁」は藤原佐為が進藤ヒカルに憑りつくことで
(ちょっと表現が悪い感じになりますが)
ストーリーが始まっています。
ヒカルは当初は囲碁の事なんて全く知らないし
囲碁に興味を持っている訳ではないのですが
佐為の気持ちに応えるために囲碁を打ち始めます。
とまあ、ここまでは普通にある話だと思うんですが
ここからの人間描写が絶妙なんですよね~
まずは佐為の実力でどんどんと名を上げていくヒカル
最初は代打ちのような形で体を貸しているだけですが
その棋力を称賛する人が増えてきます。
その称賛がヒカル自身に向けられたものではなく
ヒカルの後ろにいる佐為に向けられたものだと気づくと
自分が空虚なものに思えてくる。
ぱっと見、ヒカルを褒めてくれるような人でも
その実、褒められているのは佐為で
進藤ヒカルという人間の要素は一つも入っていない
という事に気が付いてしまうんです。
真の自分には誰も目を向けてくれないことに虚しさを感じ
棋力を称賛される佐為へ嫉妬するヒカルの姿を描くその描写は
素晴らしいの一言です。
囲碁や将棋のトッププレイヤーにしても、スポーツ選手にしても
有名な学者にしても、サラリーマンにしても
自分で努力して得たものしか受け入れられないんですよ。
カンニングしてテストで100点を取ったところで嬉しくはならないし
ズルして相手を引きずり降ろして勝負に勝とうが本当に満足感は得られない。
「ヒカルの碁」は少年誌というジャンルでありながら
人間の心の奥底に眠る承認欲求を見事に描き出していて
読んでいる人を驚嘆させる力があります。
そして、ヒカルのライバルとして描かれている塔矢アキラも
真っ直ぐで実に人間らしく描かれています。
父親に名人と呼ばれる屈指の棋士を持ち、子供の頃から英才教育を受けてきたアキラ
膨大な努力で実力を掴んだアキラは
周りの人たちから強いやっかみを持たれます。
切ないですよね~
囲碁に打ち込める環境であった影響はもちろんありますが
子供のころからずっと囲碁の勉強ばかりしてきたアキラ
他人と比べて膨大な努力を重ねてきたアキラが
対して努力もしていないような人達に嫉妬され、いじめられたりします。
実際の世の中でもそうですもんね。
たくさんの努力とチャレンジと失敗を重ねて成功した経営者たちは
対して努力もチャレンジも失敗もしていない人達にやっかまれ、叩かれる。
「お金を持っていることは悪人だ」
と言わんばかりに、努力をしていない人達(努力が圧倒的に足りない人達)が
人一倍努力をしてきた人達を叩く
「本当の悪人はどっちなんだろう?」
と、思いますが、世の中はそういうものですから仕方がありません。
実際の塔矢アキラも周りの雑音には耳を貸さず
ただひたすらに自分の進む道を歩み続ける
そして、ヒカルを追い続け、ヒカルに追われ続ける
この描写は本当に絶妙です。
佐為がヒカルに憑りつくという点だけはSFチックではありますが
「ヒカルの碁」は少年誌の枠を超えた深い人間描写をしており
素晴らしい話を作り出しています。
一人の人間が成長する青春ドラマは見どころたっぷり
冒頭でも少し話をしましたが、「ヒカルの碁」は囲碁を題材にした漫画なので
その内容で読者を唸らせることが出来ません。
いくらハイレベルな対局を描いても読者がついてこないのですから
囲碁に付随するサイドストーリーで盛り上げていくしかありません。
このストーリーが絶妙なんですよね~
主人公の進藤ヒカルは普通の少年です。
囲碁に対する情熱を持っていた訳ではないですし
余計な一言を言って誰かを傷つけてしまったり
自分が進む道を決められずにフラフラと彷徨う普通の少年です。
この普通の少年が成長していく様を描くのがとても上手です。
完璧な人間はこの世の中に存在しないですし
いくら大人が「将来のことを考えなさい」と言ったところで
正直なところピンときません。
実際に私だって、大学に入ってもやりたいことなんて
何一つ見つかりませんでした。
それどころか社会人になったって
なんとなく周りの流れに乗って仕事をしているだけでした。
そんなものだと思うんですよね~
主人公のヒカルもそんなものでした。
しかし、佐為に出会い、塔矢アキラに出会い
色々な囲碁部員に出会い、囲碁好きな大人に出会い
プロを目指す囲碁プレイヤーに出会い、プロ棋士に出会い
自分の進むべき道を見つけ、そして歩み出します。
「ヒカルの碁」は囲碁漫画ではありますが
メインとして描かれているのは囲碁の対局ではなく
進藤ヒカルという一人の人間の成長物語
なんですよね~
この成長物語が実に人間らしく、たくさんの迷いを描いているので
心にしみわたってきます。
「ヒカルの碁」はただの囲碁漫画にあらず、人間物語である。
これが「ヒカルの碁」の魅力ですね。
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「ヒカルの碁」の全体評
「ヒカルの碁」は囲碁漫画でありながら囲碁漫画にあらず。
“一人の少年が迷いや悩みを抱えて成長していく人間物語”
です。
少年誌という枠を超えた深みのあるストーリーは
「まさに素晴らしいの一言」
ですし、囲碁を知らない人が読んでも十分に楽しめる作品となっています。
むしろ囲碁を知らない人にこそ「ヒカルの碁」を読んでほしいですね。
きっと囲碁をやってみようと思う気持ちになるはずです。
それほどまでに素晴らしい出来栄えになっていますよ。
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Source: 漫画GIFT~勉強として漫画を読むレビューサイト~
Post source:「ヒカルの碁」は囲碁を知らない人にも読んでほしい稀代の名作だ!【感想・レビュー・ネタバレなし】