非日常を求めて漫画を読むこともあるかもしれませんが、日常の何気ないひとつひとつの出来事のなかで、登場人物が感じたことを疑似体験し、それを通して自分のこころが見えてくる、、これは、そんな作品です。
ラウンダバウトについて
作者:渡辺 ペコ
巻数:全3巻
簡単なあらすじ
女子中学生マコトと、その家族、友達、先生などの間で起きる日常。大人から見ればささいなことも、中学生のマコトにとっては一大事。
あ~あったなそういうこと!と思うような出来事の中に、くすりときたり、ホロリとしたり、ハッとさせられたりします。ゆっくり、でも繰り返し読みたくなる作品です。
見どころ
マコトの、人に対するなんともフラットで真っ直ぐな目線に心が洗われました。そして私自身、救われました。
引きこもりになっているクラスメイトに偶然出会っても、ひょいと垣根を飛び越えて話しかけてくるマコト。思春期まっただ中で、知識を得た分、周りの人たちをあっち側とこっち側に勝手に分けてみるマコト。マコトに恋心を寄せているであろうクラスメイトが転校する場面でも、あからさまではなく、でもしっかりと、絆を感じていることを感じさせてくれたマコト。
引きこもりのクラスメイトの子も、マコトからもう一人別のクラスメイトへも関わりが広がっていきます。
自分と他人との輪がそうして広がっていくなかで、そこに生まれる面倒なことと優しいこととを感じ葛藤しながも、面倒でも優しい方に一歩踏み出していきます。
また、可愛くてお金持ちだけど家庭は複雑な女の子と、地味で平凡だけど平和な家庭で育つ女の子を関わりのなかで対比させることで、地味でも平凡でも、そこに確かな幸せがあることを描いています。
他にもまだまだいろいろなエピソードがありますが、とにかく出てくる登場人物が、マコトを筆頭に全員とても魅力的に人間的に描かれています!そしてとても丁寧です。心の小さな揺れを見逃さず、そして押し付けにならないよう言語化しすぎない中で表現されています。ぜひとも手元に置いておきたい、そんな大切な作品です。
こんな人におすすめ
日々を過ごす中で、どこに向かっていけばいいのか迷っている人、マイノリティな立場でいま生きてる人、大人も子どもも、皆に読んで欲しいです。
私自身、マイノリティな立場の人間ですが、この作品に出てくる先生が、引きこもりの生徒に言った言葉が今でも心に残っています。
大きく言うと、自分の人生には自分で責任を持つということ、そしてそのためには人生をどう生きるか、何を大切に生きていくのか、それを考えさせる作品に感じました。
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Post source:何気ない日常の中にある、目線。心に少し風を通してくれる漫画「ラウンダバウト」を読んで【感想】