思春期の女の子の友情や恋愛がリアルに描かれている「降っても晴れても」の魅力【感想】

この漫画の作者の藤村真理さんは「きょうは会社休みます。」というドラマ化されて話題になった漫画の作者様です。最近は明るいストーリーを描かれることが多いと感じますが、昔はかなり暗めの心を絞られるような漫画を描かれていてそのギャップも魅力的です。

 

こちらの漫画もなんともいえない不思議な気持ちにさせられ何度も読み返したくなる作品の一つです。

 

降っても晴れてもについて

作者:藤村真理

巻数:全5巻

 

簡単なあらすじ

主人公の凪が転校してきた比呂と出会うところから始まります。明るく誰にも好かれるタイプの凪に対して内向的で周囲と馴染めずにいる比呂。比呂は凪を独占するようになり、凪は繊細な比呂を気に掛けるあまり傍から離れられずに少しずつ二人はクラスから孤立していってしまいます。

 

そんなある日凪は他校の常盤という男子に出会い次第に常盤に惹かれていくというあらすじです。

 

女同士の友情や独占欲が見どころ

凪に気になる異性ができた時、比呂は応援するといいながらも二人の仲を邪魔するようになります。それは凪を独り占めしたいという独占欲からくるものです。

 

比呂は凪に友情以上の恋愛感情を抱いているのだろうかと感じました。しかしよく考えてみると自分も仲の良かった友達に彼氏が出来たとき自分から離れて行ってしまうような寂しさや焦りを感じたことがあったなぁと共感でき懐かしい気持ちになりました。

 

思春期に女友達に憧れたり独占したくなったりする感情が芽生えたことのある人も多いと思います。また比呂は今まで特別扱いされ孤立してきたこともあり、空気感が自分と似ていて自分をわかってくれる凪の存在に出会ったとき、自然と惹かれてしまうのは当たり前のことだと感じました。

 

そんな自分にとって救いのような存在が離れて行ってしまうかもしれないという心細さや不安から独占してしまいたい衝動に駆られるというのは、もし同じ状況になってしまったとしたら誰もが感じる気持ちだと思います。

 

また比呂の行動に恐怖を感じ比呂から離れてしまいたくなる凪の気持ちもわかります。登場人物の心理描写や行動を通して人間らしさがとても感じられ共感するとともに胸を締め付けられてしまうような感覚がします。切なく温かく、とても考えさせられる漫画です。

 

こんな人におすすめ

思春期真っただ中の女の子や大人の女性におすすめです。思春期真っただ中の女の子は凪と比呂の関係が自分と女友達の関係に重なる部分があり共感できると思います。大人の女性は学生時代に想いを馳せ、あの頃感じていた想いが蘇りとても懐かしい気持ちになると思います。

 

作品の中にでてくる「降っても晴れても」の歌詞も作品の雰囲気に重なりとても素敵なのでそこも含めて是非ともさまざまな年齢層の女性の方に読んでいただきたいです。

 

またとても心に残る作品なので読後の余韻もたっぷり味わってほしいです。

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